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てっぺんまでぎっしりとカスタードクリームが詰まった京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」断面

【コラム】この断面を見よ。そして祇園祭で食べよ。| 京都ル・プチメックOMAKE「クリームパン」

   

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京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」

京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」

PAINLOTのサイトを見ている方々やイベントに参加して下さっている人たちの嗜好を考えると、リーンなパンを好む人たちが多く(それは僕がカンパーニュやバゲットが好きであるからというのも大きい)、パン屋さんで惣菜パンや菓子パンを購入する人も少ないだろうと想像する。

僕自身、PAINLOTとして活動したときから、ソフトなパンをあまり買っていない。なぜなら小麦の味わいを感じ取るりたいとき、他の素材の比重が大きければ大きいほど、粉の旨味や風味は消し飛ばされてしまうから。でも、惣菜パンや菓子パンに驚かされる瞬間がある。

ル・プチメックOMAKEのクリームパンである。風邪をひいたときに鉢巻を巻いたドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェは、発狂する寸前に『この人を見よ』という自伝を書いたが、僕は今、「この断面を見よ」と書いている。

京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」の全体像

京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」の全体像

粉雪降り積もる上部は、とてつもなく美しい曲線を描き、中には天辺まで狂いなくカスタードクリームが詰まっている。圧巻である。パン屋さんのカスタードクリームは重めに作っているお店が多く、さらには発酵と焼成時にパン生地が膨らむため、フィリングと生地の上部に隙間が出来てしまうのは致し方無いことなのだ。

てっぺんまでぎっしりとカスタードクリームが詰まった京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」断面

てっぺんまでぎっしりとカスタードクリームが詰まった京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」断面

もう一度「この断面を見よ」と言おう。空気の層も全く見えず、詰まりに詰まったカスタードクリームを見よ。さらに付け加えておくと、買ってから数時間経過してから撮影しているのだが、重力の影響を全く受けていないのである。つまり、とてつもなく滑らかで軽やかさに満たされているのだ。

ふと、下層部を見てみると、底の中心部からクリームが僅かに漏れているのが分かる。パンを焼いてからクリームを流し込んでいるのだろうか。製法に関することを妄想していると尚更に興味が湧いてくる。

京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」下層部に注目せよ

京都 ル・プチメックOMAKE「クリームパン」下層部に注目せよ

そして単なるクリームパンではない。ミルキーでコクのあるフワフワなブリオッシュ生地は、クリームの中から溢れ出てくるバニラの香りと調和し、口の中でとろとろにとろけていく。ジョーン・バエズやピーター・ポール&マリー、ザ・フォーク・クルセダーズは「花はどこへ行った」と歌ったが、僕はグローブ型でドスッと重みのある従来の「クリームパンはどこへ行った」と綴ろう。

ル・プチメックOMAKEは雑誌やテレビで取り上げられるとき、「フランスパン店が懐かしいパンを販売」というような説明をすることが多い。しかし、本当にそうなのだろうか? このクリームパンもコッペパンにも古いどころか、これまで培ってきた製法と斬新なアイデアが含まれているのは明白だ。

灼熱の京都祇園祭でル・プチメックオマケの冷えたクリームパンを頬張りたい。

灼熱の京都祇園祭でル・プチメックオマケの冷えたクリームパンを頬張りたい。

ル・プチメックOMAKEのクリームパンはどこか涼しげなのだが、それは京都の風物詩である「祇園祭」から販売されたことが関係しているかもしれない。連日の猛暑の中、1ヶ月に及ぶ熱狂的なお祭り。炎天下の中でひんやり冷たいクリームパンを頬張りながら、ひとときの涼を楽しむのだ。OMAKEのクリームパンが一番旨い季節がまたやって来る。京都で、祇園祭でこそ食べたい一品である。

ル・プチメック OMAKE の詳細

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