パン作りの原点へ!大阪のブランジュリタケウチが生瀬ヒュッテとして移転オープン。石窯焼きのパンを用意
2016/10/18
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大阪本町で人気を博したブランジュリタケウチ。2013年1月末に閉店した際は、年内には兵庫県西宮市生瀬町に移転オープンすることを発表していた。その後、工事などの遅れから、再開を延期していたのだが、ついに待望の開店日が決まった。2016年1月26日(火)、「生瀬ヒュッテ」として、店内に組み立てた特製のレンガ薪窯で焼き上げる大きなハード系パンを中心に予約販売をスタートするそうだ。
竹内久典さんのブランジュリタケウチには一日あたり約1000人が来客
ブランジュリタケウチ(Boulangerie Takeuchi)はパン職人の竹内久典さんのベーカリーで、2000年11月にオープン。シェフは製パン専門学校やパン屋さん、神戸の名パティスリー「ダニエル」で修行した経験を持つ。2003年5月、梅田とミナミの中心辺り、靭公園に面した場所に移転し、人気は加速する。オープンキッチンを採用し、ライブ感あふれる店内には、モダンなジャズが流れ、男性客が多かったことでも知られている。1日1000人が訪れるまでの有名店に成長し、お店の前に警備員を配置するほどだった。
ブランジュリタケウチの「どこにもないパンの考え方」
人気の秘訣は多々あるが、「どこにもないパンの考え方」ということをコンセプトに、綿密にお店を建てたということが大きいだろう。その内容については竹内久典さんの書籍『ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方』『ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ』で詳しく触れられているため、ここでは割愛したい。
クリームパン、ブリオッシュなどの中で手にとった「ライ麦パン」
さて、筆者は閉店前の2013年1月上旬に、1度だけブランジュリタケウチに伺ったことがある。当時のタケウチといえば、アールグレイやロイヤルミルクティーのクリームパン、ブリオッシュ、オリーブのパンといった、お洒落でカラフルな惣菜パン、菓子パンなどが人気だった。クールなカフェを併設した店構えと、若者たちのアーティスティックでカルチャーの渦巻く土地には、大変合っていたように思う。
そんな中、自分が手にしたのは「ライ麦パン」だった。今、写真を見なおしているが、大変素朴な食事パンである。カレーパン、メロンパン、ベーグル、季節のサンドイッチ、チーズのパンなどがあった中で、一番くらいにシンプルなパンを選んだのだった。味わいは、ライ麦の香ばしさと酵母の円やかな酸味が大変豊かで、それこそオープンサンドや、野菜のスープなどによく合った。
食べ応えのある食事パンは料理に合う
また、閉店から約1年後の2014年3月、オリジナル家具屋さん「TRUCK」が運営するカフェレストラン「Bird(新森古市)」でB.B.B(Bird Bread Board)を注文した。カッティングボードの上にはセミハードのチーズやベーコンなどが添えられており、Birdのために焼いた田舎パンや、くるみとアーモンドのライ麦パンが盛り合わせとして付いてきたのだ。
自家製の石窯で焼成する田舎パンや角食パン。クリスマスにはシュトーレンも販売
なぜ、この話をしたかというと、新しいお店である「生瀬ヒュッテ」はブランジュリタケウチとはスタイルの異なるパン屋さんだと、筆者は考えている。公式サイトを見ると、大きな角食パン、カンパーニュなどが試作されていることが分かる。これらを焼成するのは、レンガ造りの石窯だ。薪に火を灯し、レンガを高温にし、温度が落ち着いて下がりだしてから焼き上げていくという、時間のかかる非効率なパン作りである。しかし、遠赤外線効果で中はしっとりとし、薪の風味も特徴のひとつになる。複雑な味わいと香りを持つ自家製天然酵母のパンとの相性は格別だろう。
生瀬ヒュッテは大阪から電車と徒歩で1時間。平日のみの予約販売
大阪の繁華街やオフィスに近かったブランジュリタケウチ。アクセスの良さは人気のひとつだった。しかし、移転先の兵庫県西宮市生瀬は、便利な場所とは言いがたい。電車で行く場合は、大阪駅からだと、東海道・山陽本線(JR西日本)の福知山線直通に乗り、生瀬駅で下車。生瀬ヒュッテのある住宅地「花の峯」は駅から約2キロ。徒歩だと30分くらいかかる。大阪駅からお店まで1時間強も要するのだ。お店を開くにあたって駐車場も完備したそうだが、停車できる台数は12台限定とのことだ。
車の問題、2人での少量生産体制、遠くまで買いに来たのに売り切れてしまった場合などを考慮し、予約販売のみでの営業となる。月曜日の10時から14時の間に電話(0797-24-2712)でパンを注文し、指定した日付に引き渡す方法だ。平日の火曜日から金曜日の10時から14時までと、引き渡し時間も限られている。パンの内容は月初めにウェブにて発表される。2016年1月と2月は以下を予約販売するそうだ(今月のパン | Boulangerie Takeuchiより引用)。
1月と2月のパンセット
かたいパンセット 4個 1600円+消費税
- 天然酵母 田舎パン
- 天然酵母 ドライトマトとオリーブ、カシューナッツ
- 天然酵母 クリームチーズと黒胡椒
- ライ麦パン 安納芋と豆
あまいパンセット 5個 1200円+消費税
- いちぢくとくるみの胚芽パン
- 2種レーズンのミルクパン
- クランベリーとホワイトチョコのミルクパン
- 天然酵母 チョコレートとバナナ
- 天然酵母 いよかん
食パン
- 山小屋食パン 500円+消費税
- 胚芽食パン 500円+消費税
3月のパンセット
かたいパンセット 1700円+消費税
- 天然酵母 田舎パン
- 天然酵母 ドライトマトとパルメジャーノ、ピリ辛ソーセージ
- 天然酵母 ブルーベリーとクリームチーズ
- いちごとピスタチオのライ麦パン
あまいパンセット 1100円+消費税
- 抹茶とホワイトチョコレート
- レーズンといよかんのミルクパン
- 天然酵母 チョコレートとクランベリーのブリオッシュ
- いちじくとくるみの白あんパン
食パン
- 山小屋食パン 500円+消費税
- 胚芽食パン 500円+消費税
パン作りの原点へ。生瀬ヒュッテの可能性
ブランジュリタケウチの焼き立てパンを公園でぱくっと頬張ることは出来ないし、アクセスも購入方法も便利とは言いがたい。タケウチのパンが好きだった人にとっては、物足りないかもしれない。しかし、料理に合わせることの出来る大きなパンの魅力を、多くの人たちに知ってほしいと筆者は考える。ヒュッテ(hutte)とは山小屋という意味を持つ。「ブーランジェリー」というフランスパンの看板、12年間で築き上げた「ブランジュリタケウチ」というネームバリューを下ろし、都市から人里離れた山へ。何もないところで、パン屋を再構築していくということは、パン作りの原点回帰とも捉えることが出来るのではなかろうか。そんな「生瀬ヒュッテ」に大きな期待を抱いている。
生瀬ヒュッテの竹内久典さんをもっと知りたいという方へおすすめの書籍3冊
2016年10月24日放送、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』に出演したパン職人・竹内久典さんをもっと知りたいという方へおすすめの書籍を挙げておく。マガジンハウスのムック本『& Premium特別編集 おいしいパン案内。』では生瀬ヒュッテ誕生物語の前後編を掲載。表紙の食パンも竹内久典さんが焼いたものだ。『ブランジュリタケウチ どこにもないパンの考え方』『ブランジュリ タケウチ どこにもないホームベーカリーレシピ』と共に、ブランジュリタケウチ及び生瀬ヒュッテを深く知る手がかりになるだろう。