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CAMELBACKとパンラボ池田浩明さん

小麦農家に食べる人のおいしいという声が伝わったら世の中は変わる | 新麦コレクション主宰 パンラボ池田浩明

      2015/10/06

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採れたての小麦でパンを作る動きが近年活発化している。その中で、パンライターとしてTV・ラジオ・本・雑誌などで活躍する、パンラボ池田浩明さんは2015年に〈新麦コレクション〉を発足させた。10月は小麦生産者やパン屋さんのシェフらと共に、多数のイベントを実施。消費者と現場の交流場として、農家とパン屋の交差点としての役割を担う。9月始め、会場となるGARDEN HOUSE CRAFTSで話を聞いた。

パンになる小麦は1ヶ月から数ヶ月の熟成期間があるのに、製粉してから半月でパン屋に粉があるとしたら、ありえないぐらいに早い

新麦コレクション収穫祭2015のメインイベントを10月17日に実施しますが、それについて教えて下さい。

池田:10月17日(土)の収穫祭【EATLIVE!】は屋上でします。全国から新麦コレクションのホームページに掲載している農家が来て、その農家とつながりのあるパン屋さんがチームを作って、新麦パンを作ります。参加者は新麦パンを試食して、生産者の話を聞いて、ブースを回ってパンを食べるという。一応、販売会もしますが、それはメインというわけではありません。収穫祭は予約制なので、予約した人から優先的に入れます。

【EATLIVE!】は3部制なので参加の都合が合わせやすいですよね。一般の方以外ではどんな方に来ていただきたいですか?

池田:この近くにカフェファソンというお店があって、岡内賢治さんという雑誌などにもよく出ている有名な焙煎士の方がいるんですけど、すごくいい人で新麦コレクションの説明会のときに来てくれて、コーヒーを淹れてもらいました。コーヒーの方は小麦よりもいち早く採れたての豆を使っていたから反応してくれたのかもしれません。

サードウェーブコーヒーの人たちはアフリカとかに足を運んで買い付けをやっていたから、アメリカ西海岸でも挽きたての小麦を使いましょうというイベントが発足したみたいなんです。珈琲豆にも特徴があるから焙煎の仕方を変えましょうとか、飲み方を適したものにしましょうとかをしっかり説明してくれる風土があります。ロースターやバリスタの方々が来てくれるとありがたいですね。

テイスティングも日々行っていると思いますし、新麦パンの風味で気づくことが多いかもしれません。その新麦についてですが、小麦は収穫してからエージング(小麦の熟成期間)が必要です。新麦パンについてはそのエージングがとても短いです。一般的にエージング期間が少ないと、製パン性に欠けると言われていますが、その代わりに新麦パンは豊かな風味を感じることができると思うんです。

池田:元々、日清製粉の研究者で、今は工学院大学で教授をされている山田昌治さんというすごく面白い方がいます。「麦茶で霧吹きしてからトーストすると美味しい」などを『ためしてガッテン』などで話していて、知っている人もいるかもしれませんね。エージングは通常1ヶ月必要ですが、寝かせてから半月くらいで、ある程度安定するみたいです。パンになる小麦は1ヶ月から数ヶ月の熟成期間があるのに、製粉してから半月でパン屋に粉があるとしたら、ありえないぐらいに早い。事実として、流通しているときに時間はどんどん経過します。製パン性に影響のある粉を使えているとしたら、むしろラッキーかなと思うんです。パンは作りにくいかもしれませんが、それだけ風味が飛んでいない粉を手に入れているので、それはそれとして有りだと思いますし。あと、昨年の小麦ヌーヴォーのときに「多少はパン作りに影響はあったけど、それほど気にならないよ」と話すシェフが多かったです。

新麦は製パン性に欠けるという先入観がありましたが、それほど影響がないことに少し驚きました。しかし、いつも使っている粉とは確実に違いますよね。

池田:オーナーシェフのいる店だったら、小麦に変化があれば「いつもと違う作り方をしよう」となりますが、経営者がいて、働き手がいるお店はマニュアル通りの工程になるので、小麦の問題が起きたときに対応できないので、安全な(扱いやすい)小麦を使ってしまいますよね。そのようなお店にも新麦の個性を表現できるパン文化が広まったら、小麦の本来の風味をもっとたくさんの人が味わえる時代になると思います。

私が軸足(重心)を置いているのは、リテールベーカリー(個人店)です。今、コンビニのパンはすごくおいしいから、パン屋さんとの差別化がしづらいです。コンビニと同じことをやっていたら勝てないので、そういう意味でも個人のお店は新麦パンでアピールできると思います。小麦の個性を表現するということは、機械製パンやマニュアルに頼った仕事よりも、感性を要求されますから、まさに職人仕事と言えます。そういう意味でも新麦はいいと思います。新麦コレクションなどに参加することは、その証明にもなりますし。

新麦コレクションの会場 GARDEN HOUSE CRAFTS

新麦コレクションの会場 GARDEN HOUSE CRAFTS

フランス産小麦と国産小麦は共存できるし、文化として共存させたい

国産小麦が今、ものすごく流行っていますよね。僕は、国産小麦がブランド化し「いいもの」とされ、外国産が「悪者扱い」される風潮に懸念を抱いていますが、その辺りはいかがでしょうか? 例えばVIRONはフランス産小麦のVIRON粉のみを使っています。

池田:VIRONは私も好きですが、結局のところ、人間が向こう側にいるということを理解しているかということですよね。例えば、あるパン屋さんが今までVIRON粉を使っていたとします。でも「国産小麦が流行ってるから国産小麦を使おう」という人がいるとしたら、それは悪くはない話でありがたいことですが、「人間が見えているのかな」と思います。VIRONの粉を何千万円もかけて輸入してきた人たちも、すごいこだわりで製粉している人たちも、農家の人もいるわけですが、人が作っているという点で、国産もフランス産もまったく変わりはありません。国産であろうと、フランス産であろうと、北米産であろうと、おいしさを求めるあらゆる真剣な仕事を、僕はリスペクトします。

逆に言えば、国産小麦が流行ってきたときに、本当に農家さんとかと付き合うつもりでやってくれたら嬉しいです。農業は5年、10年というスパンの仕事。例えば「今年はこの小麦を植えてよ」ってお願いして、一年後に出来上がるとします。その年は小麦を買うかもしれないですが、その翌年に「今年は買わない」となったら、用意した畑はどうするのかという問題も出てきます。新麦や国産小麦をブームにするということは倫理的にも許されないですし、迷惑がかかってしまいます。私が裏切ることになったらパンライターも出来なくなってしまう。だから最後の一人まで追い続けるというか、そのような覚悟で新麦コレクションをやっています。

あと、「国産」という単位の話も大事だし、農家や地域のテロワールを活かすということも大事です。その土地その土地でいいところがあるということを知ってもらうことが目的です。国産小麦の文化が広がったら、フランス産小麦を使う文化も跳ね返ってくるというか。なぜフランス産小麦を使うんだろう、という。VIRONみたいにキャラクターが立っていれば、味も分かるから狙いも見えます。そんな個性を持つ国産小麦がもっともっと出てきてほしい。

「マルディ・グラ(新橋)」という肉料理で有名なフレンチに、ブーランジェリーレカンの割田健一さんとダンディゾンの木村昌之さんと一緒に行ったときの話です。雑誌によく出ているマルディ・グラの和知徹さんという有名なシェフが、「一週間かけて食べるカンパーニュを作ってほしい」と、以前、割田さんにお願いしたそうです。そのときに5日目くらいのものを食べたんですけど、すごくおいしかった。「5日間経って、こんなにおいしいのはすごいですね」と割田さんに言ったら、「アルカンという商社のフランス産小麦はすごく風味が力強い」って教えてくれて。粉に力というか、元々の風味がすごく強いんです。熟成させるということは、ある程度の香りのもとになる成分みたいなものの絶対量が多いので、風化していくスピードに負けずに、守ったり変化していく部分が残っている。ポテンシャルがあるので、変わっていってもおいしく、それもまた味になります。元々のポテンシャルがなかったらおいしくなくなったという話ですね。一方、国産小麦は味が繊細です。だからフランス産小麦と国産小麦は共存できるし、文化として共存させたいですよね。国産小麦がブームになったらつまらなくなってしまいますね。

ガーデンハウスクラフツの国産小麦カンパーニュオープンサンド

ガーデンハウスクラフツの国産小麦カンパーニュオープンサンド

共感できる小麦作りと、新麦パンにおける個性の表現

小麦文化の共存という話は興味深いですね。池田さんは新麦への向き合い方で作り手へ提案したいことはありますか?

池田:私はパン屋ではないので、プロの方に物申すことはできませんが、農家のことを知ることは大切だと思います。小麦の作り方、ストーリーというか。そういったことを私も伝えていきたいですね。そしてお客さんにもしっかり説明できるようなパンであってほしい。強いて言えば共感できる小麦を使って欲しいです。

例えば「滋賀県大地堂のディンケル小麦(スペルト・エポートル)全粒粉を使います」となったとき。通常の小麦の倍ぐらいの価格です。何も知らなかったら「高いよ」で終わりです。でも、廣瀬敬一郎さんがどのようにしてディンケル小麦を作ってきたのかを知ることによって、「そんなにやっていて、逆に安いくらいだね」と気付くはずです。でも、そこまで知ったら、その味を表現しないと意味がなくなってしまいます。これまで外麦(外国産小麦)でやっていたレシピを内麦(国産小麦)に置き換えて作っても、お客さんに対する説得力も欠けてしまいますし、高い材料を使うだけになってしまいます。ですから、個性の表現をしてもらいたいですよね。そうすると農家さんが一生懸命頑張ったことや、自然の味というものが舌まで届いていることになります。

新麦コレクションのフェイスブックページでル・ルソールのシェフがディンケル小麦のレシピを掲載していますよね。今まで作ってきた分、経験値があるじゃないですか。そういったシェフたちの「この新麦の扱い方やレシピ」のようなものも公開していくとよいのではないかと思いました。

池田:公開したい気持ちは満々ですが、追いついていなくて。昨日もそれがやりたくて、カタネベーカリーに行って新麦のパンを食べたんですが、やはり引き出しがなければパン屋さんも作れないですからね。あらゆるパン屋さんが小麦の個性をあますところなく表現できるようになったら、パンの世界はすごくおもしろくなる。あと、製粉会社も挽き方とかで個性がある粉を作ってほしい。

カタネベーカリーのパンを使ったCAMELBACKのたまごサンド

カタネベーカリーのパンを使ったCAMELBACKのたまごサンド

パン職人が小麦農家に出向くということ、そして情報の発信

パンの雑誌』では小麦のテイスティングをしてますよね。365日の杉窪章匡シェフやパンデュースの米山雅彦シェフをはじめとして、パン屋さんのフェイスブックページを見ていると、小麦農家に出向くパン職人の方が増えているように思います。池田さんはこの数年を見てきて、変化を感じていますか?

池田:私もパンライターの経歴が長いわけではありませんが、増えたと感じています。私もまだまだにわかです。昔からやっている人たちもいますが、この5年くらいで出向く人たちが増えたのではないでしょうか。アグリシステム株式会社が出てきて〈小麦ヌーヴォー〉をスタートしたのと、十勝の〈北海道小麦キャンプ〉があるのも、大きなきっかけになったと思います。

パン屋さんがフェイスブックページなどをやりだして、情報を出しやすくなったこともすごく大きな変化だと思うんです。また、製粉会社や小麦農家も同様です。例えばシニフィアン・シニフィエなどが粉を使用している前田農産食品は伝え方がとても上手いです。その日のことをしっかりと書いていて、現場の写真も掲載している。読んでいても面白いです。

池田:前田さんは積極的ですね。新麦コレクションにも協力してくれます。

「想像パン(イマジン・ブレッド)」を作るということ

まだまだかも知れませんが、パン職人の方だけでなく、消費者側も生産者に対しての意識が芽生え始めているような気もします。そういうことを知ると、地粉でパンを作っているお店がたくさんあることも分かってきました。例えば、大分市では〈おおいたオーガニックマーケット〉というイベントがあって、大分産有機小麦などで別府市のパン屋さん「国産小麦と天然酵母のパン工房hibino」がベーグルなどを作っているんです。とても小さい規模かもしれませんが、全国には小麦を育てている人たちがいます。

池田:最終的に描いているのは、47都道府県に地元の小麦があって、その小麦から味覚にあったパンが作られて、名物になったりして、私が食べにまわること。あとは小麦前線が北上してくるのを実際に体験することです。7月は九州産、8月は近畿地方、10月は北海道の小麦で作られるパンが近所のベーカリーに並ぶ。ローカルとグローバルの両方があっていいと思います。いつも新麦パンが並んでいると季節感もあります。小麦は収穫されるものだということが広まりますしね。

消費者はどういったことに目を向けていくべきでしょうか?

池田:昨日もZopfのカレーパンを「おいしい、おいしい」と言いながら食べました。そのようなパンに行列するのもいいし、素材の個性を知って共感できるようになると、楽しさも広がるかなと。小麦の味がするのはプレーンなものが多いです。先ほどツイートしましたが、昨日、カタネベーカリーでこのようなパンを買いました。

そして朝にトーストして食べたんですけど、「これは炭火焼きみたいので食べたいな」と思ったんです。これは新麦のパンですが、テクスチャーは全粒粉のパンだから粗さが分かる。その割にはすごく柔らかくてそれがおいしいなと。網焼きすると尖っているところだけ黒くなってポツポツするから、それが食べたいなって。そして全粒粉って蜂蜜に合うから、蜂蜜やバターを塗りたいです。そういう想像や連想ができたら面白くなるかなと思います。

想像は大切ですね。今もそうですが、消費者は雑誌等で食べ方を見たりして、それを実践する。そうではなく、ひとりひとりの食べ方があってもいいですよね。

池田:ああ、そうですね。結局、私もよく分からないので(笑)、連想でいいのかなって思っちゃうんです。スーパーで販売されている食パンを全部食べて感想を求められる無茶振りもされるんですけど、そのときに食べ方も教えて下さいって言われるんですよ。「そんなの無理だ」と思うんですけど、「連想したことを言えばいいのか」となったら、全部の食パンに対してイメージが出てきて、提案できたんです。食パンの袋にも個性があるし、食べ方は意外といろいろあるんだなあと思って。自由な想像があるといいですよね。

エシレの高級バターはおいしいですけど、味噌を塗ったり、醤油を垂らしたりして食べてもいいわけですよね。でも、そうなるには、それを発想させてくれるパンが必要になるわけで。

池田:そうです、そうです。カタネベーカリーの全粒粉パンに個性が無かったら、イメージが湧いてきません。日本は惣菜パンや出来上がっているパンが多いです。それはそれとしてテンションが上がるんですけど、完成しているからあまり想像ができなくなります。プレーンなパンは“想像パン”と命名します(笑)。今は食事パンと呼ばれていますが、“イマジン・ブレッド”と改名したほうがいいかもしれない(笑)。

鳥のように自由に。ビートルズの曲ではないですけど「フリー・アズ・ア・バード」ですね。パン屋さんも想像させるパンを作ってほしいと。

池田:パン屋さんは個性のある粉を使うことがフックになって、消費者側に想像させやすくなると思います。だから農家さんにも個性的な粉を作ってもらいたいですし、みんながそういう方向に向いていきましょうというのが〈新麦コレクション〉ですね。

個性が尊重される世の中にする

流通業(製菓製パン材料販売店や仲介者)の方はどのように入っていくべきでしょうか?

池田:仲介役をしてくれるのはそういう人たちですから大切ですね。新麦コレクションのロゴは5本線になっていて、生産者・製粉会社・流通業・パン屋・消費者が含まれています。この前、滋賀県の戸倉商事(「ママの手作りパン屋さん」では新麦コレクション参加農家の小麦粉も販売中。一般の方でも通販ができる)の方とお話する機会がありました。例えば戸倉商事だったら、地元の素材や小麦粉をできるかぎり流通させる仕組みを作ってくださったら、地域経済の貢献に大きく関わると思います。ただ、それを売ったとしても、みんなが「なんじゃこりゃ」になってしまうので、地粉をテーマとした講習会を開くだとかも必要です。小麦農家って農協に卸すくらいしか出来ることがないので、それだと今まで通りのままです。地元産の小麦を、個性を活かした流通が出来たのであれば、いい方向に広がっていくはずです。

こうして運ばれてくるんだな、という流通者のことが見えてくると、さらに理解が深まると思いますし。

池田:それと、もっと食材に対して興味を持ってもらいたい。パン屋さんに話を聞くと、問屋さんでも食材を知っている人とそうでない人もいるみたいです。例えばパン屋さんが興味本位で頼んだものでも、勉強熱心な人だと味見してから持ってくるそうです。劣化させないために小麦を冷蔵保管し、小麦の個性や風味を失わずに届けてくれる問屋さんもありますね。小麦は生鮮食品で農産物だということを知り、興味や知識を持ってほしいための新麦コレクションです。「うちも冷蔵で保管しましょう」となったら、それは小麦の個性を活かすことだし、農家さんの努力をそのまま届けることに繋がります。「あの問屋は頑張ってやっているからいいよね」となったら、パン屋も小麦粉を取ってくれると思います。それが良い循環になります。個性を尊重することで、少しずついい方向に向かっていくはずです。

今までは農協や製粉会社でしたが、前田さんも個人で突出した一番手で、パン屋さんが注目しだしたんです。メジャーに対するインディーズというか。出版社などに属していない私も同じで、それがなかったら面白くないですし、記事に対する責任も持てないじゃないですか。事なかれ主義でお給料をもらっているだけになったら、責任も取らなくていいことになるかもしれませんし。面白くないですよね。だからパン屋さんの個性を伝えないと、そのお店を紹介する価値も無くなってしまう。それは農家さんも問屋さんも製粉会社も一緒だと思います。個性が尊重されるいい世の中になると思います。

取材後にパンラボ池田浩明さんに連れていってもらった関口ベーカリー

取材後にパンラボ池田浩明さんに連れていってもらった関口ベーカリー

農家さんに食べる人のおいしいという声が伝わったら世の中は変わるかもしれない

スーパーで生産者が分かる札みたいなものが付いている野菜を売っていますよね。パン屋さんもそういった取り組みをどんどんしていったらいいかもしれないと思いました。ホームページなどでもよいですが、「ここの粉を使っています」だとか。

池田:出していった方がいいですね。これは原点なのですが、前々から「農家さんに食べる人のおいしいという声が伝わったら世の中は変わるかもしれない」と言っているんですよ。多くの農家さんが、そのような「おいしかったという評価」って全く無しに農家さんはやっているわけですから。食べる人の顔が見えていれば、食物にいっぱい農薬を使ったりだとかいい加減なことはできないですし。「おいしい」と言ってくれたら、よりおいしい小麦を作ろうと思いますよね。そうしたらリスクがあるかもしれませんが、おいしい品種を植えるかもしれません。だからパン屋さんは農家の名前を出した方がいいですよね。

これまで一方通行だったものを循環させていくという考え方ですね。それをみんながある程度意識的にやっていかないと、結局お店も続かないと思いますし。パンを買って、食べて、「おいしかった」と言わなかったら、小麦を作ってからパンとして食べられるまでに関わった人たちには、何も分からない。ただ売って、お金が入ってきて、終わりになってしまいます。新麦コレクションではそのようなことを知るためのイベントをたくさん主催しています。

池田:47都道府県で収穫祭をやれたらなと思います。各地で収穫祭をやりたい人たちはぜひ新麦コレクションに連絡してほしいですね。イベント以外でも過疎の町に小麦を植えて活性化させたりだとかを考えている人などがいたら、コンタクトを取りたいです。そういうことを知ったら、その地域まで出向いて、小麦を紹介したいなと思います。

それで全国の小麦マップを作ったりとか。パン屋さんでも小麦を作っているお店が増えてきています。そういう人たちをサポートするシステムが必要かもしれません。

池田:みんなが家の近所でやってくれたらと思いますね。

ベランダや庭でプランター栽培から始めてみたり。

池田:新麦コレクションで種と土とプランターが入ったプランターを販売できたら楽しいですね。近くで育てることができたら、新麦の季節も分かりますよね。パン屋さんに並ぶ時期も分かります。

一番最初に10月17日(土)に新麦コレクションの核となるイベント、新麦パーティの【販売会】と【EATLIVE!】のことをお答え頂きましたが、参加するみなさまにメッセージはありますか?

池田:新麦コレクションのフェイスブックページとパンラボのサイトを見てくれたら、出演者やお店のことが分かると思います。あとは『パンの雑誌』で新麦コレクションの紹介をしているのでぜひとも読んでいただきたいですね。

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