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カネカ山﨑隆二シェフ、フリアンド谷口佳典シェフ、Zopf篠原遼シェフ

パンの世界大会〈第5回モンディアル・デュ・パン〉大阪応援講習会レポート【後編】

      2015/09/12

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パンの世界大会〈第5回モンディアル・デュ・パン2015〉大阪応援講習会レポート【前編】では、〈第5回モンディアル・デュ・パン〉について、ブーランジェリー・ラパンのルメ・パトリックシェフ「ガレート・デゥ・パタテゥ」、ブーランジュリー・オーヴェルニュ井上克哉シェフの「ブリオッシュ(70%中種法)」、ブーランジュリー・グウ東野篤シェフの「キタノカオリ×はるきらりのフロマージュ・ドゥーブル」、パン工房フルニエの坂田隆敏シェフ「道産Type70バゲット」についてお届けした。

パンの世界大会〈第5回モンディアル・デュ・パン2015〉大阪応援講習会レポート【後編】では、ブーランジュリー・パリゴ安倍竜三シェフ「パート・ド・バーズ(ベース生地)」、サ・マーシュ西川功晃シェフ「本日の昼食」「ブレッド・トリコロール」、そして〈第5回モンディアル・デュ・パン2015〉に関わる人たちの言葉と、出場選手であるブーランジェリー・フリアンド(神戸夙川)の谷口佳典シェフと、Zopf(千葉松戸)の篠原遼シェフの意気込みをお届けしたい。

ブーランジュリー・パリゴ安倍竜三シェフ「パート・ド・バーズ(ベース生地)」

大阪上本町にある「ブーランジュリー・パリゴ(BOULANGERIE PARIGOT)」の安倍竜三シェフは、〈モンディアル・デュ・パン〉の第3回と第4回に日本代表選手として出場し、日本アンバサドール協会副会長も担当する。15歳でパン職人の道に進んだ安倍竜三シェフはビゴの店や関西のベーカリー、そしてフランスにて4年半の修行を経験。2005年に同店を開業した。

株式会社グローアップ古田高浩さんとパリゴ安倍竜三シェフ

株式会社グローアップ古田高浩さんとパリゴ安倍竜三シェフ

披露したのは「パート・ド・バーズ」。意味は“ベース生地”で、粉と塩、そして酵母のみで作り、水の添加量を変えることで3種類に展開していく。今回使う国産小麦粉「キタノカオリ」はタンパク質が強めで、練っていくとコシが出るため、「パンの神様」と称されているレイモン・カルヴェル氏が考案した(とされている)「オートリーズ製法」で生地に伸展性を出していくそうだ。オートリーズ製法とは、イーストなどを除き、水と小麦粉だけを最初に捏ねる、パン作り方法のひとつ。オートリーズ後のフロアタイム(一次発酵)は、粉に見合った時間を算出するのがよいと安倍竜三シェフは話す。

「パート・ド・バーズ」の第一形態は「フュエ・ド・トゥレンヌ」。中が空洞になるピタパンのような「フュエ・ド・トゥレンヌ」は、オーブンではなく、ピザ窯で焼きあげる。パンなどを焼くための石窯は、薪で温めると最初は一番高温になる(そして徐々に下がっていく。)。フランスのトゥレンヌ地方ではその温度帯を確かめるために、最初に焼かれるのがこの「フュエ・ド・トゥレンヌ」というわけだ。焼きあがる時間で温度を確認するということである。

「ピタパンというとユダヤのパンを連想しますが、ヨーロッパ地方では似たようなものがそこら中にあって、そういうものを見ていくのも楽しいです。これは300度で約3分くらい。ピザみたいに焼きます。分割生地は50gで18cmくらいに麺棒で丸く伸ばします。」

ピタパンのような「フュエ・ド・トゥレンヌ」の生地を麺棒で薄く伸ばす

ピタパンのような「フュエ・ド・トゥレンヌ」の生地を麺棒で薄く伸ばす

成形後の生地をピザピール(ピザを窯に入れる棒のようなもの)でどんどん焼いていく。通常、パンは240度程度で焼成するのに対し、ピザは300度くらいの高温域で焼きあげる。素早く火を通すために薄生地というのも大切な要素だ。窯から取り出される「フュエ・ド・トゥレンヌ」。薄く延ばした生地がぷっくらと美味しそうに膨らむ。外は見た目通りパリパリ。極薄にも関わらず、もっちりとしたクラム(中身)部分が残っているのが特徴。早く焼きあがるわりにはキタノカオリの味はしっかりとしている。そのまま食べても、ピタサンドのようにしてもいい。パンのポケットに色とりどりの野菜を入れたり、ファラフェルサンド風にしてみたり。おいしく食べるためのアイデアが豊富に浮かんでくるパンだ。このパンに関しては、時間が経過すると水分が抜けてバリバリになってしまうため(それはそれとして、お煎餅みたいで美味しいのだが)、中身のもっちり感が残っている焼きたてを頬張りたい。

「フュエ・ド・トゥレンヌ」の焼き上がりはぷっくりと膨れる

「フュエ・ド・トゥレンヌ」の焼き上がりはぷっくりと膨れる

ピタパンのように中が空洞になっている

ピタパンのように中が空洞になっている

ピタサンドやファラフェルサンドなどにしてもOK

ピタサンドやファラフェルサンドなどにしてもOK

「僕のパン作りはだいたい適当。」

安倍竜三シェフはそう話したが、この「適当」の本当の意味とは何だろうか? それは職人の経験値が積み上げられた結果、五感が全てを把握しているからこその「適当」なのだと思う。例えば、手で何かを持ったときにグラム数を当ててしまう料理人がいる。日々の経験によって、デジタルスケールなどを使わなくても、文字通りの「適当」になっているのだ。当然、デジタルスケールで毎回計測するのは時間が掛かるし、感覚で図れるのであれば、それに頼るべきだろう。だから、安倍竜三シェフにとって、「適当」なパン作りが成立する。日々の積み重ねによるパン作りが「適当」になっていくのは当然なのだ。

「パート・ド・バーズ」は加水率の高い「リュスティック」に移行する。

「バシナージュ(足し水)は伸展性を出すためにやっています。基本的にオートリーズを取るか、バシナージュするかということですね。キタノカオリは力が強いので、オートリーズも丁度いいです。そして自分たちが扱いやすくてやりやすい吸水率でやるのが一番いいです。」

「リュスティックは粉に対して62%の状態から、30%の水を追加して(92%)、出来たら100%くらいまで持っていきます。最近、水の多いパンが流行っていますが、吸水が入ったから美味しいということはないんです。水分を多く入れると、デンプン(糖)の分解が進んで生地の甘みが増します。ただ、生地の甘味が増したところで、発酵で糖分を食わせきってしまうと、全く意味がなくなります。糖分がどのくらい残るのか。そして生地の膨張によって、ストレートで口に甘味が伝わるというメカニズムになっています。だから水が入ったから美味しいということではないんです。」

バゲット、トースト、リュスティック、パン・ド・ロデヴ、チャバタなど、“高加水パン”と呼ばれるものが流行っている。しかし、それを活かすも殺すも製法次第。この話は興味深く、改めてパン作りは科学に結びついているのだと実感した。酵母液の話は続く。

「ルヴァンリキッド(小麦酵母液。小麦粉と水が同量の液状タイプ)とルヴァンデュール(小麦酵母。小麦粉に対して水が少ない生地タイプ)の違いは、単に水分量の違いです。デンプンの分解が早くなりやすいか、なりにくいかということ。ルヴァンリキッドがいいとか、ルヴァンデュールがいいということではなくて、「特徴が出やすいからこの製法にしよう」というやり方。キタノカオリはハード系に向くスペックではありませんが、ストレートに粉の味が出るために、今回はこのレシピで作ることにしました。どちらかと言うと食パンに向く粉だと思っています。だから今日のようなオートリーズだったり、バシナージュと言った製法を使って、フランスパン用の生地を仕上げていきます。」

吸水率100%だとドロドロの扱いにくい生地だと思ったが、安倍竜三シェフが触っている生地を見ているとそんなことはなく、意外としっかりとしている。製法次第で生地を扱いやすくしていくこと(模索すること)が大切なのだと、伝えてくれた。

「水分の多い生地は、生地の酸化を付けるか、パンチをすることでしっかりとします。そして柔らかい生地を成形するコツは、触れたらすぐに離すことです。」

350gに分割された生地が手早く成形されてゆく。

「今回はカネカ食品の生イーストを併用しています。発酵の見極めは生イーストの方がやりやすいです。」

アドバイスが続き、リュスティックが焼きあがる。

「種(ルヴァンリキッド)も入っているので、このリュスティックは「パン・ド・ロデヴ」って言ってもらってもいいかもしれませんね。」

パキっとしたクラストはお煎餅のようで、とても香ばしい。心地よい苦味から甘みへと移ろいを感じる。

パリゴ安倍竜三シェフのリュスティック

パリゴ安倍竜三シェフのリュスティック

パリゴ安倍竜三シェフのリュスティックの気泡

パリゴ安倍竜三シェフのリュスティックの気泡

カネカ食品の製菓・製パン用折り込み油脂「ヴィオロンシート」を使い、「パート・ド・バーズ」からハード系パンのチーズスティック「バトンフロマージュ」も作った。折り込みバターの層もくっきりと出ていて、チーズが層に滴るようなフォルムも食欲をそそる。

ブーランジュリー・パリゴ安倍竜三シェフ「バトンフロマージュ」

ブーランジュリー・パリゴ安倍竜三シェフ「バトンフロマージュ」

まるでチーズを食べているような感覚のパン。喉から鼻に登ってくるチーズとバターの香りに驚く。表面の塩加減が非常に美味だった。

パリゴ安倍竜三シェフのチーズスティック「バトンフロマージュ」

パリゴ安倍竜三シェフのチーズスティック「バトンフロマージュ」

「バトンフロマージュ」のカリカリ感

「バトンフロマージュ」のカリカリ感

サ・マーシュ西川功晃シェフの「本日の昼食」

西川功晃シェフはアンデルセン、プランタン銀座のドゥースフランス ビゴの店、ブーランジェリー コム・シノワなどを渡り歩き、神戸三ノ宮に「パンと暮らしのCa Marche(サ・マーシュ)」をオープン。色とりどりの野菜を使ったパン、驚くべき発想から生まれるパンの数々は、多くの人を虜にしてきた。そのテクニックも評価を得て、第2回〈モンディアル・デュ・パン〉の日本代表に選出。同大会では第4位に輝いている。

その西川功晃シェフは「本日の昼食」を担当。人参とセロリのマヨネーズソースのサラダ、ホットドッグ、イベリコ豚ソテーのバーベキューソース、ピッツァ、スープが用意された。

サ・マーシュ西川功晃シェフの「本日の昼食」

サ・マーシュ西川功晃シェフの「本日の昼食」

銀座ブーランジェリーレカンの割田健一シェフ、Zopfの伊原靖友シェフも盛り付けをサポート。100名以上のランチプレートがてきぱきと盛りつけられていく。

銀座ブーランジェリーレカンの割田健一シェフ、Zopfの伊原靖友シェフも盛り付けをサポート

銀座ブーランジェリーレカンの割田健一シェフ、Zopfの伊原靖友シェフも盛り付けをサポート

ヴィシソワーズのような冷製スープは紫芋のペーストがベースとなり、牛乳と生クリームでまろやかさを出し、玉ねぎを少しだけ入れてコクをプラス。紫芋の甘みが引き立ったスープだった。

生ハム、イベリコのチョリソーはスペイン産。しっかりとした塩味が効いていておつまみとしても最高だ(今回、講習会のためアルコールの用意がないのは致し方ない)。チーズと合わせて味わった。

オレンジ風味のヨーグルト入りマヨネーズソースは、フルーティーで爽やかな味わいをサラダに演出する。

ブーランジェリー・グウ東野シェフがカリカリのドッグパンを焼いた。マスタード、豚トロソーセージの組み合わせは間違いなく美味しい。

ホットドッグはブーランジェリーグウ東野篤シェフが焼いた

ホットドッグはブーランジェリーグウ東野篤シェフが焼いた

ピザはほうれん草のピューレを使ったフォカッチャ生地。バジルソースを塗ってイベリコ豚のベーコンを刻んだものをトッピング。

フォカッチャ生地のピッツァ

フォカッチャ生地のピッツァ

メインは柔らかでジューシーなイベリコ豚ソテー。カレーソースにたまねぎ、セロリ、にんじんを炒めてピューレにしたカゴメの「ソフリット」を混ぜてバーベキューソース風味に仕上げたという。

イベリコ豚ソテーのバーベキューソース

イベリコ豚ソテーのバーベキューソース

サ・マーシュ西川功晃シェフ「ブレッド・トリコロール」

昼食を作り終えたサ・マーシュの西川功晃シェフは「ブレッド・トリコロール」を披露した。このパンの基本となるのは脱脂粉乳、無塩バター、グラニュー糖、ルヴァンリキッド、塩、水、強力粉で仕込んだ白い生地「パン・ブリエ」。カゴメの冷凍ピューレ「グリンピースピューレー」「ペペロナータ(赤ピーマン)ピューレー」を寒天で固めて、色とりどりのピューレを生地に練り込んでいく。

グリンピースカンテン生地にバジルペーストを練り込むサ・マーシュ西川功晃シェフ

グリンピースカンテン生地にバジルペーストを練り込むサ・マーシュ西川功晃シェフ

「ありえない吸水率です。寒天で固まっている感じ。」

粉に対して水70%、ルヴァンリキッド10%、無塩バター3%、そして生地1kgに対してカンテン200gが入る。べたつく生地を台に打ち付け、カードですくい上げながら巧みにまとめていく。

ブレッドトリコロールの生地

ブレッドトリコロールの生地

ブレッドトリコロールの生地をまとめるサ・マーシュ西川功晃シェフ

ブレッドトリコロールの生地をまとめるサ・マーシュ西川功晃シェフ

サ・マーシュ西川功晃シェフとブーランジェリーレカン割田健一シェフはモンディアル・デュ・パンのユニフォームで出演

サ・マーシュ西川功晃シェフとブーランジェリーレカン割田健一シェフはモンディアル・デュ・パンのユニフォームで出演

「アプリコットは料理とぴったりなので赤ピーマンとの相性もよかった。」

「グリーンピースはパクチーなど、バジル以外でもいいですよ」

西川功晃シェフは解説を加えながら、3種類の生地の間に綺麗な層を付けるため、太白ごま油を塗っていく。

ブレッド・トリコロールの生地と生地の間に太白ごま油を塗る

ブレッド・トリコロールの生地と生地の間に太白ごま油を塗る

見事に3層(それは虹のようでもあった)になった生地をおしぼりのようにひねり、ひとつにまとめる。これを焼き上げていく。

ブレッドトリコロールの生地は3つ

ブレッドトリコロールの生地は3つ

3層の生地をしぼるようにまとめる

3層の生地をしぼるようにまとめる

断面が綺麗なため、スライスして食べるのがよい。オリーブオイルやパスタの付け合せがいいと西川シェフは話す。食べるときにプチプチと飛び込んでくる食感と美味しさがある。黄色のペペロナータだけでも香りが強く、3つの個性が口の中を駆けまわった。また、バジルの甘みも感じる。ケーキのようにさっくりとした食感も印象に残った。

サ・マーシュ西川功晃シェフ「ブレッド・トリコロール」

サ・マーシュ西川功晃シェフ「ブレッド・トリコロール」

「ブレッド・トリコロール」の断面

「ブレッド・トリコロール」の断面

〈第5回 モンディアル・デュ・パン〉に向けて

まもなく開催される〈第5回 モンディアル・デュ・パン〉。応援講習会では大会に向けて、各シェフからの話があった。下記にそれをまとめたい。

「日本全国のリテイルベーカリーに出場してもらいたい。小さなお店から大きなお店まで受け入れて応援してゆく。従業員が2〜3人でも挑戦してほしい。」とサ・マーシュの西川功晃シェフは話した。今回の応援講習会では個人店のシェフが講師を担当した。また、〈モンディアル・デュ・パン〉に出場するシェフも、“街のパン屋さん”なのである。身近な人たちが営業する傍らで世界大会に挑戦する。それをサポートするのも個人店であったり、私たちのような消費者だということ。

サ・マーシュの西川功晃シェフは話を続ける。「〈モンディアル・デュ・パン〉で求められるのは視野の広いパン、未来のパン。かっこいい、綺麗というだけでなく、毎日食べられるパン。」「谷口佳典シェフはコンテストにチャレンジすることによって、今後、お父さんから引き継ぐフリアンドにフィードバックがあるのではないか」。大会は特別だが、パンは特別であるよりも、身近なものなのだ。それを忘れてはいけない。

パリゴの安倍竜三シェフは「〈モンディアル・デュ・パン〉のテーマは栄養と健康。健康に対するパンはアメリカをはじめとして、世界で注目されています。日々のパンとしての大切さが求められます」。今回は栄養士・食育アドバイザーの中塚由子さんが日本代表をサポートする。栄養面のバランスを考慮したパンが作られる。大会に並ぶ作品は、オブジェとして役目を終えるのではない。大会後にはぜひ店頭でも販売して欲しい。

神奈川県のボンヴィボン(Bon Vivant)児玉圭介シェフは、「食べるだけではなく、目で見て、耳で音を聞いて、五感を使って楽しむものになってきています。心から感動するものを作っていかなければいけないです」。見た目がかっこいい、おいしいというだけではパンを作る意味が薄れてしまう。心の底からおいしい、と思えるパン作り。それはとても難しいことだが、料理を作るのであれば、目指さなくてはいけない極みであろう。

日本アンバサドール協会副会長の牛尾則明シェフ(VIRON)は東京から駆けつけた。「関西の方はより勉強される傾向がある。東京はお客様の数が多いためというのが大きいと思います。ですから、VIRONでは常にお客様の側を向いて営業しているつもりです」。〈モンディアル・デュ・パン〉においては、関西のシェフが多く選出されている。確かに神戸をはじめとして、関西のパン食文化は豊かである。牛尾シェフの言葉は、フランスのパンを体現するVIRONの姿勢を表現していた。それは関西にもフランスにも負けていないように思う。

日本アンバサドール協会副会長の牛尾則明シェフ(VIRON)

日本アンバサドール協会副会長の牛尾則明シェフ(VIRON)

アンパサドール会長の川良弘シェフ(パン工房カワ)は、「これだけのシェフが集まる講習会は今まで無かったのではと思います。講習会は女性が少なかった印象ですが、今日はたくさんいらっしゃる。新進気鋭のシェフが集まって、様々な考え方があって、パン作りは奥が深いと感じました。〈モンディアル・デュ・パン〉は今回で5回目になりますが、いい成績を持って帰ってきて頂ければと心から願っております。けれども、大会勝負というのはどうなるか分かりません。行って、頑張ってきて頂いて、これからの日本のパン業界のために尽力頂ければなと。本日はお集まり頂きありがとうございました。今後とも日本アンバサドール協会並びに〈モンディアル・デュ・パン〉をよろしくお願いします。」と話した。結果はどうあれ、大会に出場することによって、様々なフィードバックがパン業界にもたらされるだろう。明るい未来が待っていることは間違いない。

大会に出場するフリアンドの谷口佳典シェフは「僕自身もまだまだ練習をしていかなければならないなと思います。9月25日まで万全の準備をしていきたいです。本日はありがとうございました。」と短くまとめた。お店の営業と練習をこなし、いよいよ本番を迎える。プレッシャーは並大抵のものではないだろう。消費者ができることはフリアンドに行って、パンを買うこと。それがサポートにつながる。関西在住の方は夙川のブーランジェリー・フリアンドでパンを買って欲しい。そして世界大会に出場するパン職人が夙川にいることを知ってほしい。

Zopf篠原遼シェフは「大会に向けて貴重な経験ができました。これからも努力していきます。」と話した。ブーランジュリー・パリゴ安倍竜三シェフは「15歳から仕事を始めるので、22歳だとひと通りの仕事ができます。そのために次への世代につなぐためにも若いパン職人がサポートをします。」と自身の経験を踏まえながら話したことも付け加えておこう。22歳での世界大会出場は素晴らしい経験となるだろう。失敗も成功も吸収して、さらなる飛躍を目指してほしい。

カネカの山﨑隆二コーチは、「応援講習会は最後ですが、クオリティーは高くなってきています。環境が違う中でどれだけのパフォーマンスができるか。体験から言うと、行く前に散々叩かれて叩かれて、自信の内容な状況で行ったんですけど、ブースに入ると解き放たれたような高揚感が出てきて、あとはやり遂げるだけだったんです。そういうような状況に自分を追い込んでいる時期だと思うので、ツアーに行かれる方も含めて、日本からの応援は2人にとって追い風になります。今日は本当にありがとうございました。」と、経験談を交えて話した。

多くの人が支え、猛暑にも負けないくらい熱気を帯びた講習会。出場選手にとって、勇気づけられた一日だったはず。パンの世界大会〈第5回モンディアル・デュ・パン〉はフランスのサンテティエンヌで9月23日から27日まで実施される。

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